歯周病とは
歯周病と虫歯は歯科の2大疾患といわれています。成人期において歯を失う原因の多くは、歯周病もしくは虫歯によるものです。ここでは、その中の歯周病について詳しく説明していきます。
歯周病とは
歯周病と虫歯は歯科の2大疾患といわれています。成人期において歯を失う原因の多くは、歯周病もしくは虫歯によるものです。ここでは、その中の歯周病について詳しく説明していきます。
1.歯周病とは
歯周病とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患のことで、 歯の周りの歯茎(歯肉)や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気のこと です。虫歯は細菌の作り出す酸によって歯が溶かされて歯に穴があく病気であるため、虫歯と歯周病は大きく異なる病気になります。
歯周病には歯肉炎と歯周炎という2つの疾患があり、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、 歯肉に炎症を引き起こした状態を歯肉炎 、それに加えて 歯を支える骨(歯槽骨)を溶かして歯をグラグラにさせてしまう状態を歯周炎 といいます。
歯と歯肉の境目の清掃が行き届かないことで、境目に多くの細菌が停滞すると、歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり腫れたりします。歯周病の怖いところは、この状態になっても痛みがほとんどないことです。そのため、ご自身で歯周病を早期発見することは難しく、段階が進行してから気付く方も多いです。歯肉の炎症状態からさらに進行すると、膿がでたり歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなってしまいます。つまり歯周病は歯が残っていても支えを失い、最終的には抜け落ちるというリスクがあります。
2.歯周病の原因
歯周病には、歯周病原菌といわれる細菌が関わっていると考えられています。お口の中には常時およそ400~700種類の細菌が住んでいますが、これらは普段あまり悪いことをしません。しかし、歯磨きが十分でなかったり、砂糖を過剰に摂取すると細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面にくっつきます。これを歯垢(プラーク)と言い、粘着性が強くうがいをした程度では落ちません。歯垢の中には、1mgあたり1億個以上もの細菌が含まれているといわれており、この細菌が虫歯や歯周病をひき起こす原因となります。中でも歯周病の原因と考えられている歯周病原菌が多く存在しているといわれています。
歯磨きが十分でないと、歯垢が歯と歯肉の境目に増えていきます。歯垢の中の細菌が産生する毒素によって歯肉が腫れたり出血しやすくなり、さらに進行していくと、歯肉が炎症によってどんどん腫脹し、歯周ポケット(歯肉溝)が深くなります。深くなった歯周ポケットの中は歯周病の病原菌の繁殖しやすい酸素の少ない状態であるため、歯周病原菌の繁殖がさらに進むことになります。
歯垢は取り除かなければ硬くなり、歯石と言われる物質に変化し、歯の表面に強固に付着します。歯石になってしまうと、歯磨きだけでは取り除くことができません。この歯石を足がかりにして、さらにポケットの奥深くへと歯周病原菌が進行していくと、細菌が出す毒素が歯を支える歯槽骨を溶かしていき、歯肉が下がってきたり、歯がグラグラしてきたり、最終的には歯が抜けてしまったりします。
3.歯周病の症状
▼歯を磨くと出血がある
▼歯茎が腫れている
▼起床時に口の中のネバツキが気になる
▼口臭がきつい
▼歯茎下がりが気になる
▼歯がぐらつく
などの症状があれば歯周病の可能性があります。歯周病は初期の段階だとほとんど痛みがなく、気付きにくい疾患になるため、上記の症状があれば一度歯科医院を受診するようにしましょう。
4.歯周病の進行段階
歯周病は、健康な状態から「歯肉炎」→「軽度歯周炎」→「中等度歯周炎」→「重度歯周炎」の順に段階が進行 していきます。
◆健康な状態
歯茎は引き締まってピンク色
◆歯肉炎
歯茎の炎症のみ がある状態
この段階なら 治癒が可能
◆軽度歯周炎
歯槽骨の吸収が始まる
◆中等度歯周炎
骨の破壊が進行する
◆重度歯周炎
歯の動揺が激しくなり、
最終的に 抜歯が必要な状態に
初期段階の歯肉炎は、歯茎に軽い炎症が起きている状態なので、歯科医院での歯石の除去とご自宅での歯磨きなどの適切なセルフケアにより、歯茎は元の状態に戻ります。
5.歯周病が引き起こす全身への悪影響
歯周病の原因となる歯周病原菌や炎症によって生じる毒性物質などが、歯の周囲の組織を破壊するだけでなく、以下に記述するような悪影響を及ぼすことがあります。
心血管疾患
動脈硬化は、今まで不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。歯周病菌は歯周ポケットの毛細血管から血管内に入り込み、その歯周病菌の刺激により動脈硬化を誘導する物質がでてきて、血管内にアテローム性プラークと呼ばれる粥状の脂肪性沈着物ができます。このプラークにより血液の通り道が狭められ、冠動脈を硬化させると言われています。これにより、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
糖尿病
以前から歯周病は糖尿病の合併症の一つと言われてきました。実際に、糖尿病の人はそうでない人に比べて歯肉炎や歯周炎にかかっている人が多いという疫学調査が複数報告されています。さらに最近では、歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係も明らかになってきました。つまり、歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられるようになってきたのです。
歯周病菌は腫れた歯肉から容易に血管内に侵入し全身に回ります。血管に入った細菌は体の力で死滅しますが、歯周病菌の死骸の持つ内毒素は残ります。この内毒素をエンドトキシンともいい、細菌の細胞壁に含まれる毒物です。この内毒素は血液中の糖分の取り込みを抑える働きもあるTNF-αの産生を強力に推し進めるため、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔してしまい、血糖値のコントロールを難しくしてしまいます。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪蓄積を臍部の内臓脂肪面積100㎠以上と定義、ウエスト周囲径が男性で85㎝、女性で90㎝以上を基盤とし、さらに①血中脂質異常、②高血圧、③高血糖の3項目のうち2つ以上に異常所見が見られる病態のことです。詳しいメカニズムは解明されていませんが、歯周病の病巣から放出されるLPS(歯周病菌由来の毒素)やTNF-αは脂肪組織や肝臓のインスリン抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させます。また、重度歯周病患者では血中CRP値が上昇し、動脈硬化や心筋梗塞発症のリスク亢進と密接に関与すると考えられており、歯周病とメタボリックシンドロームの関連性が注目されています。
誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。肺や気管は、通常咳をすることで異物が入り込まないよう守る働きがあります。しかし、高齢になるとこれらの機能が衰え、食べ物などを飲み込んだ時にむせることがあります。食べ物とともに口腔内の細菌も一緒に飲み込んでいるため、むせた際にその細菌が気管から肺の中へ入り、免疫力の衰えた高齢者は誤嚥性肺炎を発症することになります。誤嚥性肺炎の原因となる細菌の多くは、歯周病菌であると言われており、誤嚥性肺炎の予防には歯周病のコントロールが重要になります。
骨粗鬆症
骨粗鬆症とは、全身の骨強度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気のことです。骨粗鬆症の中でも閉経後骨粗鬆症は、閉経による卵巣機能の低下により、骨代謝にかかわるホルモンのエストロゲン分泌が低下することにより発症します。
閉経後骨粗鬆症の患者様において、歯周病が進行しやすい原因として最も重要と考えられているのが、エストロゲンの欠乏です。エストロゲンの分泌が少なくなると、全身の骨が脆くなるとともに、歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内では、炎症を引き起こす物質が作られることで、歯周炎の進行が加速されるとも考えられており、多くの研究で、骨粗鬆症と歯の喪失とは関連性があると報告されています。
妊娠性歯肉炎・早産・低体重児出産
一般に妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。これには女性ホルモンが大きく関わってくるといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病細菌の増殖を促すこと、また歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。これらのホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなります。基本的には歯垢が残存しない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度ですむことが多いため、妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
また、妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、歯周病菌が胎盤に影響を与え、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。これは口の中の歯周病菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染することが原因ではないかといわれており、その危険率は実に7倍にものぼるとされています。歯周病は予防が十分可能な疾患です。生まれてくる元気な赤ちゃんのために、歯磨きなどのセルフケアをしっかり行う、定期的に歯科医院で検診とクリーニングを行うなど、歯周病にならないよう予防していきましょう。
喫煙
喫煙は歯周病の大きなリスクファクターの一つです。喫煙は、免疫機能や傷を治す機能の低下を招くため、例え歯周病治療を受けたとしても、予後不良が起きてしまうリスクが高くなります。また、たばこの煙や成分は、口の中に入ると粘膜や歯茎から吸収されます。その吸収されたたばこの有害物質が血管を収縮させることで、歯茎の血流量は減少します。そうすると、血液循環が悪化し、歯茎に十分な酸素がいきわたらなくなり、結果的に歯周ポケットの中で歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなり、歯周病が進行しやすくなります。喫煙者は血管収縮による血行不良により炎症が抑えられるため、歯周病のサインである歯茎の出血や腫れが現れにくいことが特徴です。そのため、歯周病になっていることに気付きにくくなり、気付いた時には歯周病が進行していたという可能性があります。歯の健康を維持する上で、禁煙は欠かせない要素になるでしょう。
関節炎・腎炎
関節炎や糸球体腎炎が発症する原因の一つとして、ウィルスや細菌の感染があります。関節炎や糸球体腎炎の原因となる黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の多くは、歯周病原性細菌など口腔内に多く存在します。これらの細菌が血液中に入り込んだり、または歯周炎によって作り出された炎症物質が血液に入り込むことで、関節炎や糸球体腎炎が発症することがあります。
まとめ
歯周病が全身に多くの影響を及ぼすことは昨今の研究で明らかになってきています。毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防する事が全身の生活習慣病を予防することにもつながります。
歯医者は口腔内の変化をみる事のできるプロです。歯周病は進行し自覚症状が出ないと自分自身では気付きにくいため、特に痛みなどがなくとも定期的に歯科医院で検診とクリーニングを受けていただき、歯周病の有無の確認や歯石除去を行うようにしましょう。
歯周病かもしれない、気になる症状があるなど歯に関してのお悩みがある方は、一度みんなの歯科にご相談ください。
院長 川口祐一郎
患者様の希望に沿った治療方針を計画し、丁寧な説明、痛みの少ない治療を心掛けております。
略歴
2012年 松本歯科大学を卒業後、大阪歯科大学にて研修医修了
2013年~2015年 ヤスデンタルクリニック(奈良県)にて勤務
2015年~2021年 おくずみ歯科クリニック(沖縄県)にて勤務
一般歯科治療を基本に、口腔外科・矯正・インプラントの専門医指導の下、様々な症例を経験し現在に至る
◇全顎矯正治療・部分矯正治療コース修了
◇ロマリンダ大学留学コースにてインプラント治療コース修了
◇ホワイトニングコース修了
◇小児マウスピース(プレオルソ)予防矯正コース修了
2021年 10月 みんなの歯科 開院
現在は4児の父親としても奮闘中。
右京こだま保育園の園医も担当し、200名程の園児の検診もしております。
| 店舗名 | みんなの歯科 |
|---|---|
| 住所 | 奈良県奈良市右京4-14-28 高の原ロイヤルメゾン (高の原中央病院の向かい、ひまわりクリニック,サン薬局の並び) |
| 電話番号 | 0742-81-8814 |
| 営業時間 | 午前 9:15~13:00【最終受付12:15】 午後 14:00~18:00【最終受付17:15】 土曜日 午前 9:15~14:00【最終受付13:15】 |
| 定休日 | 木・日・祝 |
| お支払方法 | 現金、クレジットカード(VISA、MasterCard、JCB)、WAON、iD、nanacoなど |