市販のホワイトニング歯磨き粉は効果があるの?

白く美しい歯には憧れるけれど高額な費用をかけられない、通院する時間がないなどの理由で歯科医院でのホワイトニング諦めてしまう方も多いと思います。

歯科医院でホワイトニングをした時のような効果をご自宅でのケアでも得られれば…と思うことはありませんか?

最近では磨くだけでホワイトニングができる、魔法のようなホワイトニング歯磨き粉が多く出回っています。ホワイトニング歯磨き粉で毎日入念に歯磨きをしていれば理想の白さに近づける気がしますが、なかなか期待する効果までは実感できない…とお悩みの人も少なくありません。「ホワイトニング歯磨き粉って本当に効果があるの…?」と疑問が湧くことも。
この記事ではホワイトニング歯磨き粉について、成分や歯科医院によるホワイトニングとの違いを解説していきます。歯を白くしたいと悩んでいる方、ホワイトニング歯磨き粉の注意点を知りたい方は参考にしてください。

 1.歯が黄ばむ原因 

歯が黄ばむ原因は、外因的要因から内因的要因まで様々で、一概に生活習慣が原因とは言えません。
歯の黄ばみを改善するためには、まず黄ばみの原因を理解することが重要です。

 生活習慣 

黄ばみの原因の1つが、食べ物や飲み物の色素です。食べ物や飲み物に含まれるポリフェノールなどの色素は、唾液中にあるたんぱく質と結合し、歯の表面(ペリクル)に付着して歯を黄ばませます。気付かないうちに、毎日の食事で着色汚れが溜まってしまっている方は多いでしょう。また、タバコのヤニも黄ばみの原因です。喫煙者の方は、タバコが原因で歯が黄ばんでしまっている可能性があります。

原因となる生活習慣を見直すのも、歯を白くする方法の1つです。飲食物の中で歯の着色汚れを起こしやすいのは、コーヒー・紅茶・ワイン・チョコレート・カレーなどです。黄ばみが気になる方は、飲食後にうがいや歯みがきをすると予防効果があると言われていますので、まずはそこから見直すのが良いかもしれません。

 ●加齢 

歯の色は、象牙質の色とそれを覆うエナメル質の厚さに左右されます。象牙質は黄色っぽい色をしていて色には個人差があるほか、エナメル質の厚さにも個人差があります。生まれつき歯が黄色っぽい方、白くきれいに見える方など、歯の白さに個人差があるのはこのためです。

年齢を重ねると象牙質を覆うエナメル質がすり減っていくほか、象牙質が厚くなっていき、歯が黄ばんでいきます。また、加齢とともに歯の表面には細かな傷が増えていきます。色素は傷があると内側まで浸透しやすいため、色素が落ちにくくなり、黄ばみの原因になります。毎日の食事や喫煙で歯に付着した色素の蓄積も、年齢と共に歯が黄ばむ原因です。

 ●磨き残し 

歯垢や歯石は歯を黄ばませる原因の1つです。磨き残しがあると、歯茎や歯に食べかすが残ります。食べかすは歯垢や歯石となり、細菌を繫殖させる原因となるほか、歯の表面が溶ける「脱灰」を起こす原因にもなります。歯垢や歯石の蓄積と、脱灰によるエナメル質の減少が歯を徐々に黄ばませます。また、歯垢や歯石などの汚れは黄ばみになるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクを高めます。毎日歯を磨いていても、歯間など細かいところまで磨けていない方も多いため、健康的で白い歯を保てるよう、歯ブラシや歯間ブラシなどを使って、できるだけ隅々まで口内の汚れを落としましょう。

 2.ホワイトニング歯磨き粉の成分と働き 

歯が白くなる効果をうたったホワイトニング歯磨き粉は複数ありますが、本当にホワイトニング効果のある成分が含まれているか、注意して見たことはあるでしょうか。
ホワイトニング歯磨き粉に含まれている代表的な成分を3種類解説します。

 ☆短鎖EXポリリン酸®

EXポリリン酸®は長さによって短鎖・中鎖・長鎖の3種類があり、この3種類はそれぞれ働きが異なります。中でもホワイトニング効果のある成分が、短鎖EXポリリン酸®です。短鎖EXポリリン酸®は、着色汚れの除去と沈着防止の効果が高いとされています。漂白成分ではなく、歯の表面に対して働きかける成分です。歯の着色汚れが気になる方は、短鎖EXポリリン酸®の含まれたホワイトニング歯磨き粉を使うと、着色を除去できるでしょう。

 ☆研磨剤

研磨剤は、歯の表面の黄ばみや着色汚れ、歯垢を除去する力があります。研磨剤と聞くと、歯の表面を削り取る危険な成分のように感じてしまう方も多いでしょう。過去には粒子が荒く歯を傷つけやすい研磨剤が多く使われていましたが、近年では粒子の細かい研磨剤を使った商品が多くなり、安全性も高くなっています。ヒドロキシアパタイトやハイドロキシアパタイトは、粒子の細かい研磨剤として知られています。ただし、少なくとも研磨剤には歯の表面を磨く効果があり、強く磨きすぎて歯を削ってしまうなど使い方には注意が必要です。

 ☆過酸化水素

短鎖EXポリリン酸®や研磨剤が歯の表面に付着した汚れを除去するのに対し、過酸化水素は、歯を漂白する効果があります。日本では過酸化水素の使用が、歯科医師もしくは歯科衛生士の資格を持つものに限られています。また、薬事法により国内では過酸化水素を含むホワイトニング歯磨き粉を取り扱えないため、ドラッグストアでは販売されていません。海外では販売されていて日本からでも通販などで購入できますが、専門的な知識なく使用することは危険性が高く注意が必要です。過酸化水素を利用したい場合は、歯科医院のホワイトニングを検討しましょう。

 3.ホワイトニング歯磨き粉の選び方 

過酸化水素が含まれていない市販の歯磨き粉でも、歯の着色汚れの原因となるステインの除去や、ホワイトニングの効果を持続させる効果が期待できます。

 

[ホワイトニングの歯磨き粉選びのポイントは主に3つ]

その①:ホワイトニング有効成分
白い歯をキープさせる有効成分には、汚れを除去して歯の表面をコーティングし、汚れの付着の予防にも役立つ「分割ポリリン酸ナトリウム」、歯の表面についた傷を埋めて汚れや着色が付きにくい滑らかな歯を作る「ヒドロキシアパタイト」などがあります。

その②:「低研磨性」もしくは「研磨剤不使用」

研磨剤は汚れを落とすことにおいて有効ですが、粒子が大きいほど歯を削る力が強くなるため、歯の表面のエナメル質を傷つけたり、歯茎にダメージを与えることもあります。研磨剤が微粒子化されている「低研磨性」の歯磨き粉であれば、歯や歯茎への刺激を抑えながら汚れや着色を落とすことが可能です。また、最近では「研磨剤不使用」のもので、〈汚れを浮かせて落とす成分〉が配合された歯磨き粉も増えてきていますので、ぜひ活用してみてください。

その③:「発泡剤不使用」
歯磨きは1回につき3分以上きっちりブラッシングすることが推奨されています。しかし、ラウリル硫酸ナトリウムなどの発泡剤が含まれた歯磨き剤の場合、すぐに口の中が泡でいっぱいになってしまい、汚れが除去しきれていない状態にもかかわらず「しっかり磨けた気分」になってしまうことがあります。きちんとブラッシングをするという点では、発泡剤は入っていない・もしくは少ない方がベターです。

 

[ホワイトニングにフッ素は関係あるの?]
歯磨き粉といえば〈フッ素〉を思い浮かべる人も多いでしょう。フッ素の効果は「耐酸性の向上」ですが、使用するとホワイトニング(歯牙漂白:過酸化水素・過酸化尿素を用いた施術)効果が発揮できなくなるという一面があります。(薬剤が歯に浸透しなくなるため)したがって、歯科医院でのホワイトニングを検討されているような場合には、フッ素の日常利用や医院での塗布はあまりお勧めできません。ただしフッ素には「虫歯予防」などの効果があり、お口の健康のためにご活用いただくことができます。ホワイトニングがひと段落した後でのご使用をお勧めいたします。
それぞれの目的に応じた有効成分をチョイスし、目的に合わせて上手に活用してみてください。

 

※フッ素配合の歯磨き粉を利用する場合の注意
誤飲のリスクがある6歳以下には、一度に大量のフッ素を飲み込んでしまうと嘔吐・腹痛などの中毒症状の恐れがあるため、フッ素1,000ppm以下のものが安心です。

 4.歯磨き・歯磨き粉の注意点 

enlightened強く磨き過ぎない

研磨剤によるエナメル質や歯茎へのダメージを最小限にするためには、優しく丁寧なブラッシングが効果的です。

enlightened泡立て過ぎない

ブラシに水や歯磨き粉を大量に付け過ぎないようにしましょう。ブラシを使って歯の隅々まで薬効成分を行き届かせることが重要です。

enlightened歯ブラシは細かく動かす

奥歯や歯間の磨き残しがないように、細やかな動作で全体をブラッシングします。

enlightened研磨力に優れた歯磨き粉は〈頻度〉の調節が大事

歯を研磨しすぎるとエナメル質が傷ついて汚れや色素が付着しやすくなり、ホワイトニング目的の場合は逆効果にもなりかねません。研磨力の強い歯磨き粉を使用する際は〈週1回程度〉に抑えることが無難でしょう。

enlightened最後にゆすぎすぎない

丁寧な歯磨きによって歯の表面を覆った有効成分が流れ落ちてしまわぬように、仕上げは軽く水でゆすぐ程度が理想です。

 5.市販の歯磨き粉と歯科医院でのホワイトニングの違い 

自宅でホワイトニング歯磨き粉を使う方法と、歯科医院で受けるホワイトニングにはどのような違いがあるのか以下の2つのポイントを解説します。

 

✿ホワイトニング効果

ホワイトニング歯磨き粉を使うと、食べ物や飲み物によって歯に付着した着色汚れを落とす効果が得られます。しかし、ホワイトニング歯磨き粉では歯科医院で受けられるような歯の漂白効果は期待できません。歯科医院で受けられるホワイトニングは、漂白成分である過酸化水素などが使われています。一方でホワイトニング歯磨き粉に含まれる成分は、研磨剤やポリリン酸などで、歯の表面に付着した汚れしか落とせません。着色汚れが濃い歯の場合効果を感じにくい可能性が高いでしょう。ホワイトニング効果を確実に得たい方は、歯科医院でホワイトニングを受けましょう。

✿歯の問題確認

歯科医院ではホワイトニングの施術前に歯や歯肉の状態をチェックし、問題がある場合は治療をしてからホワイトニングに進みます。口内確認を先に行うのは、虫歯や歯周病がある歯にホワイトニングをすると治療中に虫歯が悪化したり、薬剤が痛みを引き起こしたりする危険性があるからです。
ホワイトニング歯磨き粉を使ったセルフホワイトニングでは、歯科医師・衛生士が関わらないため、虫歯や歯周病の検査が行えません。定期的な検診を受けていれば問題ありませんが、虫歯や歯周病を放置したままホワイトニング歯磨き粉を使い続けるのはやめましょう。歯の表面の汚れは落とせても、知覚過敏になったり虫歯を悪化させたりする危険性があります。

 

ホワイトニング歯磨き粉を使えば手軽に歯を白くできると考える方もいますが、確実な効果を得たい場合は、危険性が少ない歯科医院でのホワイトニングがおすすめです。

 6.歯科医院でのホワイトニングとは 

歯科医院によるホワイトニング方法は大きく分けて3種類あり、短期間で歯を白くしたい、長期的に無理なくケアしたいなど、目的によって向いている施術方法が異なります。各ホワイトニング方法の効果やメリット、費用相場は以下の通りです。

 

 ➀ホームホワイトニング 

ホームホワイトニングとは、マウスピースと薬剤を使用し自宅で行うホワイトニングです。薬剤を入れたマウスピースを装着するだけの簡単な方法で、患者様一人一人のライフスタイルに合わせて使用するタイミングを調整できます。
マウスピースに約15,000〜40,000円、ホームホワイトニング用薬剤1週間分に約5,000円の費用がかかります。
オフィスホワイトニングよりも白くなるまでに時間がかかりますが、時間をかけて白くした分、白さの持続性がある人気のホワイトニングです。
自宅で手軽にケアしたい方や、持続性のある白い歯を手に入れたい方におすすめです。

 

 ②オフィスホワイトニング 

オフィスホワイトニングとは、歯科医院で衛生士や歯科医師に施術を受けるホワイトニング方法のことです。高濃度の過酸化水素などを使用するため即効性があり、すぐに歯の白さを感じられるというメリットがあります。そのため、結婚式や面接など、大切な日の直前に施術を受ける方も多い方法となります。

ホームホワイトニングで自己管理するのが難しい方、早く白い歯を手に入れたい方に向いています
デメリットは、1回あたり約10,000〜70,000円と高額な費用がかかる点です。また、ホームホワイトニングと比べて白さの持続性が低く、白さを継続させるには定期的な施術が必要となります。

 

 ③デュアルホワイトニング 

デュアルホワイトニングとは、オフィスホワイトニングをした後にホームホワイトニングを行う、2つのホワイトニングを組み合わせた方法のことです。
オフィスホワイトニングは高い即効性がありますが、持続性が低く、定期的な施術が必要になります。反対にホームホワイトニングは白くなるのに時間がかかりますが、その分持続性がある方法です。この2つを組み合わせることで、即効性だけでなく、持続性の高いホワイトニング効果を感じたい方におすすめです。
費用は約50,000〜80,000円と他の方法に比べて高額なデメリットはありますが、徹底的に歯を白くし、長持ちさせられるでしょう。

 7.まとめ 

 ホワイトニング歯磨き粉は手軽に着色汚れを落としますが、思うような効果が得られなかったり、歯を削ってしまったりする危険性があります。安全かつ確実に歯を白くしたい方は、歯科医院でホワイトニングを受けましょう。

 歯科医院では虫歯・歯周病の確認から施術後の状態確認まで、個々に合わせた治療計画を立ててホワイトニングを行いますので、ホワイトニングを検討している方は、ぜひ相談してみてください。

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